会長所信
二千年の歴史ある神宮。神宮がご鎮座されて以来、伊勢は日本の聖地として鎮守の地であり続けた。そして我々は日本人としての精神が育まれた。日本人の美徳である「和の心」これらは我々にとってかけがえのないものである。
そして21世紀、出口の見えない世界経済不況の中、我が国の社会構造の歯車が少しずつ狂い始めている。大規模な経済改革や東京五輪に希望をいだきながらも、時代は成長から成熟化、ネットやマスコミで混乱する情報化社会、歯止めのない少子高齢化、そして財政の赤字進行など大きな課題を抱える日本経済の前に、誰もがこの国の将来に不安を抱えているような気がする。
時代が成熟の時期を迎え、さらにハイテク・デジタル・スピード化が進み、人々の価値観が多様化する中、むしろ物の豊かさよりも心の豊かさが求められているのではないか。このような時代において、今、あらためて我々に必要なものこそ、日本の精神文化「和の心」ではないか。和の心をもって、あらためて自然と文化と歴史の価値に溢れるこの地域に感謝し、常若の精神のもと継続的にその心を継承していかなければならない。
時は江戸時代、伊勢から御師がお伊勢参りを普及し全国の方々をおもてなしされた。同時に伊勢商人が江戸で活躍し、伊勢そして日本の経済を動かした。我々は青年経済人である。我々の本来の大切な目的である商工発展の取り組みを、御師、伊勢商人の歴史と文化が根付くこのまちだからこそ、その誇りをもとに、今、そして次世代の商工発展のために一歩を踏み出したい。
設立30周年を迎える本年度、それは我々にとってかけがえのない存在である先輩諸兄のご活躍があったからこそ迎えられる。まずは先輩諸兄に対するこれまでの功績への感謝の気持ちを捧げ、感謝をもってこれからの力強い繋がりをお願いするとともに、今後とも我々が勇ましく活動するその姿をお示ししたい。
また式年遷宮でお伊勢参りの価値が高まる今日、御師そしておもてなしの文化が根付くこのまちで、全国から来られる方々に変わらぬ感謝をもっておもてなししていただきたい。ましてや本年度は伊勢志摩サミットも開催される。国際化が叫ばれる今日この地域も例外ではない。むしろ伊勢はその中心であるという気概をもって地域と連携し世界中の方々にも和の心をもっておもてなししていきたい。
そのためにも全てにおいて重要なのは基本である。それは日本人として、青年経済人として大切である品格。品格とは礼儀や節度や徳、気高さに富む様をいう。和の心の基本的な要素でもある。品格を高めることこそが組織を盤石にする。そのような当たり前のことも徹底していきたい。
この地に生まれ、この地の愛情に包まれて育ち、そしてこの地に愛情を還してゆく。
時代は動くが我々の本質的に大切なものは変わらない。神宮がご鎮座するこのまちだからこそ神宮のあるまちに住まう我々だからこそ、日本の精神をもって考え、主体的に行動することこそが、地域のためにも次世代のためにもなる。それがひいては我々の生まれた祖国・日本のためになる。伊勢の伊勢による伊勢のための、そして日本のための一歩を踏み出しましょう。